-第1回のみたいなスクールでは、建築やまちづくりなどの分野で活動している方の参加が多かったなか、小野さんは福祉の仕事をしているんですよね。

そうなんです。いつもは神戸の多世代型シェアハウスと自立生活センターの2箇所で、事務や介護の仕事をしています。スクールには、神戸で活動する建築士の小畦さんが工作員みんなに呼びかけたのをきっかけに手を挙げて参加しました。小畦さんはものがたり工作所という会社もされていて、そこの現場ではDIYを取り入れた空間づくりも取り入れています。小畦さんが各現場のDIYワークショップで楽しそうに作業をしている方に声をかけて、ほかの現場でも手伝う人たちを集めていきました。いまはその仲間たちを「工作員」と呼んでいて。私もその1人として活動しているんです。

もともとは実家が古くて、どうやったらなるべくお金をかけずに直せるのか知りたいな、と思って小畦さんの現場のワークショップに参加したのですが、声をかけてもらって工作員になりました。工作員のみんながすごくいい人ばかりで、もう1年くらい続いています。

祖父母がものを大切にする人たちで、私自身も時計修理の仕事をしていた時期があって。リビセンがものを循環させていこうという想いにすごく共感していたんです。やっと行ける機会ができたって、すごく気軽に参加してみたら、内容は盛りだくさんだし、周りはプロの方ばっかりで。自己紹介では場違いなところに来てしまったと震えましたね。

- どのレクチャーも真剣に聞いていて、熱心にメモをとっている姿が印象的でした。


私の場合は仕事に直結するというわけではないけれど、今回参加していない工作員にこの情報や雰囲気を伝えるために、できることはちゃんとやろうと思っていました。

正直に言うと、売上だったり事業計画だったり、数字のことはちょっとついていけないなって感じでしたが…話を聞いていて大事だなと思ったのは、チームがなにを大切に活動しているのか、自分たちの軸を言語化しているところです。

たとえば「お先にどうぞ」という気持ちを大切にしているという話があって。その言葉があるから買い取りでも無理をしなくていいし、値付けもできるようになるし、お客さんへの対応も自分たちらしくなっていくって。自分たちはどこに向かって動いているのかが共有できていれば、スタッフの行動が変わっていく。それって、どの仕事にも共通することだと思います。

- その後、活動に変化があったりしましたか。

 
あの日は関西方面から参加しているチームが多かったんですよね。せっかくなら一緒になにかできないかって、先日、ようやくみんなで集まることができたんです。建築の仕事をしている方々ばかりだけど、私にできることをして一緒にやっていけたらなって思っています。
 
これまでも、ものを捨ててしまうのはもったいないな、繋いでいけたらいいのになって思っていたんです。同じ想いを持っている仲間みたいな人たちが、日本各地にいることを知れただけでもうれしかったんですよね。これからどんなことに巻き込まれていくのか、自分でも楽しみです。
 
インタビュー:2023/11/12 

小野さんプロフィール
“神戸のチベット“と呼ばれる地域在住。ふだんは「自立生活センター」と「はっぴーの家ろっけん」で、福祉に関わる仕事やアロマセラピストとして従事、ときどき「ものがたり工作所」の工作員として活動中。やるぞ!スクール参加を経て、「天神STOCK&STORE」の活動に巻き込まれはじめている。

ものがたり工作所 Facebookページ
ものがたり工作所 Instagram
天神STOCK&STORE Instagram

写真:五味貴志